日本表面真空学会
2020年11月2日(月)12:00 ~ 30日(月)12:00(オンデマンド講義)
2020年09月23日
オンライン講習会
2020年8月25日(火)~28日(金)に予定しておりました2020年度第60回真空夏季大学(つま恋リゾート 彩の郷)は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため、中止にいたしました。そこで今年度は、真空夏季大学の代わりとして、オンライン真空講習会を11月に開催いたします。
オンライン真空講習会は、真空工学の基礎となる事項全般を、受講者が適確に理解することに重点を置き、真空の科学技術において研究開発の実績を有する講師によるオリジナルなテキストをベースとしたオンデマンド方式の講義で構成いたします。また、実際に受講者一人一人が問題を解くことにより真空技術の基礎を理解することを意図した演習問題も配布いたします。対象は真空関連業務従事年数が1年以上で、真空工学の初歩的内容を十分理解されている方々です。真空工学の基礎知識を確実なものとし、応用や実用問題にも対応できる力を備えた技術者・研究者を育成する絶好の機会と存じますので、是非、受講をご検討くださいますようご案内申し上げます。
また、オンライン真空講習会開始直前の10月にオンライン真空入門講座を開催いたします。真空関連業務を始めて1年以内の方、オンライン真空講習会を受講する前に初歩的内容を復習したい方は、是非受講ください。数式は極力使わないで、図や動画を利用して真空技術の基礎、真空計、真空ポンプ、真空材料等について解説して、オンライン真空講習会を受講する際に必要な最低限の知識の習得を目標とします。オンライン真空講習会を受講する前に基礎を復習したい方も、この入門講座の受講をご検討ください。また、入門講座のみを受講される方も歓迎いたします。詳細は、こちらをご覧ください。
オンライン真空講習会に収めることのできない、より高度な応用技術に関しては、少数の受講者を対象として『オンライン真空講習会真空応用技術講座』の開催を検討しております。詳細が決まり次第ご案内いたします。
講師とテーマ
「気体分子運動論入門」 神谷潤一郎(日本原子力研究開発機構)
「真空と表面」 近藤 剛弘(筑波大学)
「真空システムの基礎」 柴田 恭(高エネルギー加速器研究機構)
「真空計測」 吉田 肇(産業技術総合研究所つくば)
「真空ポンプと排気系」 渡辺 光徳((株)大阪真空機器製作所)
「真空用材料とガス放出」 稲吉さかえ((株)アルバック)
「真空部品と可動機構」 桑島 淳宏(キヤノンアネルバ(株))
「成膜とプラズマの基礎」 中野 武雄(成蹊大学)
「演習」 足立 純一(高エネルギー加速器研究機構)
小倉 正平(東京電機大学)
武安光太郎(筑波大学)
山川紘一郎(日本原子力研究開発機構)
山下 翔平(高エネルギー加速器研究機構)
全般; 間瀬 一彦(高エネルギー加速器研究機構)
末次 祐介(高エネルギー加速器研究機構)
オンデマンド講義受講可能期間
2020年11月2日(月)12:00 ~ 30日(月)12:00
オンデマンド演習解説受講可能期間
2020年11月9日(月)8:00 ~ 30日(月)12:00
Webexミーティングによる質疑日時(先着順で同時アクセス最大100名となります。)
「気体分子運動論入門」「真空と表面」2020年11月4日(水)16:30~17:05
「真空システムの基礎」「真空計測」2020年11月5日(木)16:30~17:05
「真空ポンプと排気系」「真空用材料とガス放出」「真空部品と可動機構」「成膜とプラズマの基礎」2020年11月6日(金)16:30~17:05
「演習Ⅰ」2020年11月9日(月)12:40~13:25
「演習Ⅱ」2020年11月9日(月)13:40~14:25
「演習Ⅲ」2020年11月9日(月)14:40~15:25
オンライン真空講習会全般;2020年11月9日(月)16:25~16:45
オンデマンド達成度確認テスト受講可能期間
2020年11月9日(月)12:00 ~ 30日(月)12:00
モデル時間割
学習効果を最も高める時間割として下記のモデル時間割を推奨します。ガイダンス、講義はオンデマンド形式ですので、11月2日(月)12時から11月30日(月)12時までいつでも視聴できます。一方、Webexミーティングによる質疑はこのモデル時間割に記載した日時にしか開催されませんのでご注意ください。Webexミーティング による質疑応答は、先着順で同時アクセス最大100名となります。「気体分子運動論入門」と「真空と表面」の質疑は11月4日(水)16:30~17:05、「真空システムの基礎」と「真空計測」の質疑は11月5日(木)16:30~17:05、「真空ポンプと排気系」と「真空用材料とガス放出」、「真空部品と可動機構」、「成膜とプラズマの基礎」の質疑は11月6日(金)16:30~17:05のWebexミーティングにてそれぞれ受け付けます。演習問題はテキストを参照して各自で解き、11月8日(日)までに手書きの解答をPDFファイルにして担当演習講師宛てにメール添付にてお送りください。オンデマンド形式の演習解説は11月9日(月)8時から 30日(月)12時まで視聴できます。11月2日(月)12時から11月3日(火・祝)はオンデマンド講義の予習、11月10日(火)から11月30日(月)12時はオンデマンド講義の復習にご利用ください。
※モデル時間割は変更になる場合があります。また、オンライン真空講習会入門講座は別途申し込みが必要です。
ガイダンス
オンライン真空講習会のガイダンスはオンデマンド方式で11月2日(月)12時より視聴できるようにいたします。オンデマンド講義視聴前に必ず受講してください。
達成度確認テスト
オンライン真空講習会のオンデマンド講座をすべて受講し、演習問題解答を提出したら、ラーニングシステム上の達成度確認テストを受講してください。e-ラーニング方式で、自分の達成度を確認できます。試験時間は45分以内としてください。
アンケート
アンケートはラーニングシステム上で回答できるようにいたします。アンケートの回答内容は今後のオンライン真空講習会等の改善に役立てますのでご協力をお願いします。
ラーニングシステム
ガイダンス、オンデマンド講座、演習解説、達成度テスト、アンケート等はセキュリティを高めるとともに受講者の負担を軽減するため、ラーニングシステム AirCourse ベーシック上で運営する予定です。
メールによる質問受け付け
メールによる質問は担当講師に送りください。原則として11月4日(水)~9日(月)に受け付けます。また、質問回数は原則として受講者1名あたり1講義について1回とします。質問に対しては原則として1週間以内に回答いたします。
禁止事項
オンライン真空講習会を受講するにあたっては下記の行為を禁止します。ご協力お願いします。
(1)講義動画等を受講者以外が視聴すること
(2)ID、パスワード、視聴用URLを第三者に知らせること
(3)講義動画等をパソコンやその他の記録メディアに保存すること
(4)講義動画等をインターネット上のネットワーク配信サイト等へ配布すること
(5)Webex質疑等において他の受講者又は講師に迷惑・不利益を与える行為
(6)その他著作権法等の法令に反する行為
講義の概要
気体分子運動論入門(神谷潤一郎)
「気体分子運動論」は、4日間のオンライン真空講習会を通して学ぶ「真空工学」の基礎となる理論である。例えば、希薄気体の性質をうまく利用して真空ポンプや真空計を正しく動作させるためには、ミクロな視点で気体分子の振る舞いをよく理解しておくことが必要となる。この講義では、まず圧力の定義や単位系、気体の法則など、気体の巨視的性質について復習する。その後に、気体分子の運動がもたらす圧力、気体分子の速度分布則、壁への入射頻度、平均自由行程、熱や運動量に関する輸送現象など、気体分子運動論から真空工学に応用されているテーマを重点的に学ぶ。また、コンダクタンスや排気速度といった真空工学に特有な量や用語についても解説する。
真空と表面(近藤剛弘)
気体分子は1 気圧では1 cm3 中におよそ1019 個もあり、互いに衝突しながら飛び回っているが、圧力が低くなるに従い、気体分子同士の衝突は減少し、真空容器の内壁表面との衝突が真空の特性を決めることとなる。講義では、表面の効果が現れる条件を説明し、次いで、気体分子と固体表面との各種の相互作用について解説する。すなわち、気体分子の固体表面での反射や散乱、表面への気体分子の吸着とその逆過程の脱離、エネルギーのやりとりとしての熱的適応などについて解説する。また、清浄な表面を保つための超高真空技術について紹介する。
真空システムの基礎(柴田 恭)
真空システムを設計するためには、真空装置の排気特性を十分に理解しておく必要があるが、それには気体の流れについての知識が必要不可欠である。本講義では、稀薄気体の流れについての解説を行い、気体の流量を規定する要因、特に導管等のコンダクタンスについて詳細に説明する。また、単純な真空システムにおける実効排気速度や排気過程、漏れ試験等についての解説を通じて、真空システムを理解するのに必要な基本的な事柄の習得を目指す。更に、真空装置内の分子のふるまいを直観的に理解するために、真空装置内の気体分子の運動をモンテカルロシミュレーションや数値解法等の方法で解析し、動画化した結果を鑑賞する。その他にも、導管の通過確率、圧力分布、熱遷移等に関連したシミュレーション結果を動画として表示し、それぞれの結果や現象について解説を行う。
真空計測(吉田 肇)
真空計測は、大気圧から10-10Pa~10-11Paまで,15桁以上にわたる圧力範囲を計測する技術である。圧力範囲に応じて、様々な原理の真空計が用いられており、それぞれの真空計の特性を理解して使用することが重要である。本講義では、真空計測に関わる基礎的な知識に始まり、種々の真空計の原理、流量制御と流量計、真空計と標準リークの校正、真空計測に影響を及ぼす諸要因、真空計測における定量測定と不確かさの考え方について説明する。真空計は、本当は何を測定していて、それはどのようにして圧力に関連付けられているかを理解すると共に、圧力表示値にはどの程度の信頼性があるかについての考え方を説明する。
真空ポンプと排気系(渡辺光徳)
真空ポンプは、真空を作りだし真空状態を維持する最も基本的なコンポーネントである。真空ポンプの排気原理は、気体を輸送して排気するタイプと壁面での吸着作用を利用してため込むタイプに大別される。さらに気体輸送式の真空ポンプには、容積変化を利用して排気するものと気体分子に運動量を与えて排気するものがある。この講義では、これらの排気原理に基づいて現在広く使われている真空ポンプの動作原理やその特徴、さらに使用上の注意点を分かりやすく解説する。また、近年、半導体製造装置や電子機器分野で利用の機会が飛躍的に増大しているオイルフリーの排気システムや、極限的な真空を生み出す極高真空装置についても紹介する。
真空用材料とガス放出(稲吉さかえ)
真空装置には、金属、ガラス、セラミックス、ポリマー(ゴムやプラスチック)など多種多様な材料が用いられている。これらの材料は、それぞれ装置の使用目的に応じてコスト、入手性、機械的、物理的、化学的特性などの他に、真空排気のし易さ、真空度(圧力)と真空の質(汚れ)の維持なども考慮して、選ばれる。本講義では、まず、真空用材料の選択基準について解説し、ついで、真空装置設計に必要な真空関連特性について説明し、さらに、真空用材料として、金属材料(ステンレス鋼、アルミニウム合金、その他)を主体に、ついで、ガラス、炭素、セラミックス、およびポリマーを紹介し、最後に真空用材料からのガス放出特性について解説する。
真空部品と可動機構(桑島淳宏)
真空部品の講義では、真空技術の基本である真空シール(気密シール)の構造と、各種の接合技術を論じたあと、それらのシール技術の応用として、各種の部品を解説していく。そのため、ここでいう「真空部品」とは大気と真空の境界で使用される部品に限定している。個々の部品についての解説は、超高真空用と、それ以上の圧力領域で使用するものと、分けて行うことを基本としている。これは真空領域によって、使用される素材や部品の構造が異なるためである。また、プロセス装置に不可欠な圧力制御機構についても説明する。可動機構の項目では、真空中で動かせる機構を組み込むに当たって、注意すべき点を解説する。真空中における摩擦係数の増大の問題から、それを解決する潤滑材の説明、摩擦を完全になくした浮上搬送機構などの説明をする。
成膜とプラズマの基礎(中野武雄)
真空工学の重要な応用である成膜とプラズマについて、基礎的な解説をする。真空蒸着法の原理とプラズマの発生法についてそれぞれ紹介したのち、プラズマを用いた成膜手法として、スパッタリング法についても触れる。基礎科目で学習した平均自由行程・容器壁面への入射頻度・付着確率といった概念が、実際の成膜過程にどのように影響するかを解説する。具体的には、得られる薄膜への残留ガス成分の混入、堆積粒子のエネルギーの違いによって生じる薄膜構造や諸物性の変化、などについて学ぶ。
演習(足立純一、小倉正平、武安光太郎、山川紘一郎、山下翔平)
受講者が自らテキストなどを参照して演習問題を解き、オンデマンド方式の演習解説を視聴することによって、真空科学・工学に必要な概念の理解を深めることを目標とする。具体的には、配管のコンダクタンスと圧力分布、真空計測の原理と実際、真空材料のガス放出、真空装置の排気過程、固体表面の吸着・脱離,平衡蒸気圧など、実際の真空装置の製作と運用において基礎となる事項について問題を解く。演習問題の難易度は、独力で、2時間程度で解けるレベルである。手書きの解答をPDFファイルにして11月8日(日)までに担当演習講師宛てにメール添付にて送ること。真空科学・工学の基本的な問題を通して、問題の考え方、講義との関連,解答の導き方などを理解する。最後にオンデマンド方式の達成度確認テスト(45分)を受講して、習熟度を確認する。
200名(先着順にて定員に達し次第締め切ります。)
日本表面真空学会個人正会員 20,000円
日本表面真空学会法人正会員に属する個人 20,000円
日本表面真空学会維持会員に属する個人 20,000円
日本表面真空学会賛助会員に属する個人 20,000円
日本表面真空学会学生会員 10,000円
協賛団体会員 30,000円
非会員 40,000円
(テキスト代・消費税を含む)
申込みは終了しました。
銀行振込(申込受付完了後、請求書を発送します。)
「受講者の都合による取り消し及び不参加」の場合、参加費の払い戻しはいたしません。ただし、参加者の変更は差し支えありません。
低温工学・超電導学会、電気学会、日本加速器学会、日本機械学会、日本原子力学会、日本材料学会、日本真空工業会、日本半導体製造装置協会、日本分析化学会、日本放射光学会、表面技術協会、プラズマ・核融合学会
一般参加と日本表面真空学会個人正会員との受講料の差額20,000円は、日本表面真空学会個人正会員の年会費(10,000円)以上に相当します。オンライン真空講習会申込と同時の入会申込でも会員の参加費が適用されます。入会を希望される方は、こちらより入会申込手続きをお願いします。
各都道府県には「人材開発支援助成金」制度があり条件により受講料が給付の対象となります。
問合せ先
公益社団法人日本表面真空学会 事務局
E-mail: office@jvss.jp
日本表面真空学会 事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷5-25-16 石川ビル5階 TEL:03-3812-0266 FAX:03-3812-2897 Email: